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身長のメカニズム

伸長メカニズムの要点と成長曲線図の読み方

この項では、これまで述べてきた「伸長メカニズム」の要点をまとめ、次に「成長曲線図」の読み方を解説しよう。

まず、伸長メカニズムのまとめである。

  1. 子どもの身長が高くなるのは、骨端線の骨芽細胞が成長ホルモンなどの刺激を受けて成長反応を起こすために、骨が縦に伸びるからである。
  2. 人体の成長には、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性腺ホルモンの3つのホルモンがかかわっている。なかでも成長ホルモンが、骨の成長にもっとも強く影響を与える。
  3. 子どもの身長が飛躍的に伸びる時期は2度ある。1度目は、もっとも身長の伸びる乳幼児期だが、このときに重要なのは十分な栄養を摂取させること。2度目は、思春期で、このときは成長ホルモンと性腺ホルモンが重要なはたらきを担う。また、乳幼児期から思春期にかけては、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、栄養が大きく影響する。
  4. 栄養や睡眠が不足していたり、成長ホルモンの分泌が正常でも骨端線に効果的に刺激を与えられなければ、身長は伸びない。
  5. 思春期は、性腺ホルモンが大きく影響して身長を伸ばすが、反面、骨の成熟を促して骨端線を閉じ、伸長を終焉させる。

思春期になぜ急激に身長が伸びるのか?

思春期は「身長増加のラストスパート」と呼ばれる。それまでの年間5センチぐらいの伸長が、さらに年間7センチ、8センチ伸び、時には10センチ伸びることもある。

こうした急激な伸びを示すのは、性腺ホルモンの分泌が活発になることで起きる。性腺ホルモンは、成長ホルモンと同じように骨芽細胞に働きかけて、骨の成長を促す。また、成長ホルモンの分泌も思春期には高まる。

つまり、この2つのホルモンの相乗効果によって身長がそれまでにない伸びを見せる。

ところが、思春期後半になると男女を問わずに女性ホルモン(性腺ホルモンの種類)作用が骨に対して優位になってくる。女性ホルモンには骨を成熟する作用があり、その結果、軟骨を骨化させて骨端線が閉じるはたらきをする。


4歳時点の背の高さで最終身長が見えてくる

伸長メカニズムが明らかになるにつれ、最終身長が何センチぐらいになるかも予測できるようになってきた。

ある年齢のときに、何センチの身長になっているかを基本とすれば、その後の年ごとの平均伸長センチを足すことで、どのくらいの身長になるかが見えてくるようになったのである。

基本となる年齢が、男女とも4歳のときに何センチになっていたか、思春期がいつ来たかによることは、すでに述べた。

人間の成長過程で、身長がもっとも伸びるのは、誕生から4~5歳までの乳幼児期である。標準的には、生まれたときの身長は約50センチだが、4歳になると、ほとんどが1メートルを超すようになる。4年間で倍になるのだから、驚異的な伸びを見せるわけで、この時期以外にはそんな伸びを見せることはない。

身長の伸びに関してこれまで述べてきたことは、すべて成長曲線によって伸長推移が明らかにされている。子どもの身長の伸びが、例外なく成長曲線と一致するからである。

この曲線の勁きを見ると、身長の伸びを考えるうえで重人な地点が2か所ある。4歳時点と思春期開始時点だ。4歳時点は、乳幼児期に身長が何センチになったかという地点をあらわす。思春期開始時点は、その後に何センチ伸びたかという地点に当たる。


思春期での夜更かし・夜食グセ・ストレスは成長ホルモンの効果を消す

夜更かしや夜食グセ、ストレスも身長を伸ぱすには大敵となる。成長ホルモンには、自ら生成する自己成長ホルモンがあるが、このホルモンには2つの特性がある。

1つは、分泌量が高まる時間帯が決まっていることである。夜の11時から夜中の2時にかけての睡眠中に、もっとも分泌量が増大し、また、寝入ってから約3時間後にその濃度がピークに達する。

もう1つは、血糖値が上がると自己成長ホルモンは分泌されにくくなる性質ももっていることである。ということは、夜更かしすると、自己成長ホルモンの分泌が高まる時間帯に十分な睡眠状態をもてないということであり、夜食グセは、血糖値を上げて寝入ることになるため、自己成長ホルモンが分泌されにくい状態を作ってしまうわけである。

これは、当然、伸長阻害要因である。「早寝早起き」で、「寝る子は育つ」という格言は、真実を突いているわけだ。


思春期早発は身長の伸びしろを縮める

「思春期が早く来てしまった」、これは身長の伸びに大きな影響をもたらす。思春期発来前に身長を伸ぱすトータル年数が少なくなることを意味するからだ。

乳幼児期に、成長段階の年月のなかで最大の身長の伸びを見せたあと、思春期発来までは年間平均5センチほど身長が伸びる。すでに見たとおりだが、この思春期は、乳幼児期に次いで背が伸長する時期である。そして、思春期が終わると身長はわずかしか伸びず、やがて骨端線が閉じて伸びは止まる。

こうした人体の成長システムは、思春期発来が遅くなれば、そのぶんだけ毎年伸びるであろう「5センチ」がプラスされる仕組み、ということでもある。

しかし、思春期が平均的な発来時期より早くはじまる子どもがいる。個人差はあるものの男の子は11歳半前後、女の子であれば10歳前後で思春期発来するのが平均的だが、それより1年ほど早く発来する「思春期早発傾向」である。


成長期のダイエットで身長の伸びは止まる

成長期のダイエットは身長の伸びを止めるだけではなく、生理機能に悪影響を及ぼす。思春期が終わり、成長もストップしてからならまだしも、これからまだまだ心身が成長していく時期に適切な栄養を摂取しないということは、百害あって一利もない。

そうしたことが明らかになっているにもかかわらず、ダイエットが小学生にまで及んでいるということは、大きな問題である。それも、たいして太ってもいないのに痩せたいと願うのであれば、親がきちんと指導しなければならない。

子どもは誰かのちょっとした言葉で傷つく。クラスメートの何気ないひと言、「なんか、太ったんじゃない」などの言葉で、驚くほど落ち込んでしまう。それが異常とも思えるダイエットに突き進む原因になることもある。


成長ホルモンヘの反応力不足も伸長の阻害要因

成長ホルモンヘの反応力不足も、わずかながら子どもの伸長阻害要因として見られる実例だ。誕生時の体格もふつうで、幼稚園、小学校とよく食べていたのに、身長の伸びが悪いというケースである。

原因はさまざまだが、成長ホルモンが骨芽細胞にうまく作用しない体質の子がいる。成長ホルモンに対して反応が悪いと、あまり骨が成長せず、身長が伸びなくなってしまう。

また、成長ホルモンの分泌や作用がよくても、骨の材料となるアミノ酸やミネラルが不足していたり、骨端線にそれらを取りこむ力が弱ければ、軟骨が骨化できず、やはり身長は思ったほど伸びない。

よく食べていたのに身長が伸びないのであれば、その原因を早く突き止め、的確な治療をすぐにでも開始する必要がある。 


成長ホルモン分泌不足を見逃してはならない

幼稚園以降、思春期までは、成長ホルモンと甲状腺ホルモンが、思春期以降は成長ホルモンと性腺ホルモンが成長に大きく関与する。

乳幼児期、幼稚園とふつうの体格で何の問題もなかったのに、小学校に入ってからはしだいに身長の伸びが悪くなってしまう。

といっても、成長ホルモンは多少分泌されているため、身長は少しずつ伸びていく。

そこで親には、「入学したときには真ん中ぐらいだったのに、なんだか最近、クラスでは小さいほうになったなあ」という程度に認識されがちだ。「そのうち、伸びるだろう」と、さして注意もせずに放っておかれるのが一般的かもしれない。


小学生時代小食は低身長をもたらす

小学生時代の小食も身長の伸びに大きく影響する。乳幼児期と思春期にはさまれたこの時期は、伸長のペースが落ちるものの、期間が長いために栄養をしっかりとっておかなければならない。

とくにタンパク質の摂取に努めることが大切である。3大栄養素とは、タンパク質、炭水化物、脂肪であるが、これらは体への作用が異なる。

ひと言でいえば、「タンパク質を多くとると上に伸び、炭水化物と脂肪にかたよると横に太る」である。これは鉄則といってもいい3大栄養素の特徴である。

そのため、身長を伸ばそうと思えば、十分にタンパク質を摂取しなければならない。日常の食事でタンパク質が少なければ、サプリメントを利用する方法もある。

また、小学生時代は、成長ホルモンの影響を強く受ける年齢でもある。つまり、日常生活で成長ホルモンの分泌を阻害するような要素をできるだけ排除することが肝要となる。

成長ホルモン分泌の阻害要因とは、栄養不足、睡眠不足、生活の乱れ、ストレスなどによる情緒不安定である。これらの阻害要因を、親は極力排除して、子どもの生活が安定するよう努力しなければならない。

ことに子どもは、9歳までにきちんと躾をしておかなければ、親の教えを聞かなくなる。そのため、親のいうことがわかるようになる3歳ぐらいから小学生低学年にかけては、しっかりと躾をすることが求められる。 


幼少時低栄養は低身長のいちばん多い原因

大きな傾向として、小さいときに背の低かった子は、成長しても身長が低いという結果になりがちである。その意味で、幼少時低栄養は、最終身長に大きな影響与える可能性が高い。

成長ホルモンは骨の成長に欠かせない微量物質だが、乳幼児期においては、成長ホルモンより栄養の多寡のほうが比重は高い。栄養状態がいいか、悪いかが乳幼児の伸長を大きく左右するのである。

しかし、この時期の食欲は、完全に”本能”に支配されている。生まれつき食の細い子どもは、それを改善しようと親が努力しても、なかなか思い通りにはならない。そのために十分な栄養を摂取することがむずかしいのが実態だ。

こうした子は、生まれたときに標準的な体格であっても、その後の成長が遅く、幼稚園に入るときには平均より数センチ背の低いことも珍しくない。

それ以外にも、乳幼児期に大病を患ってしまうと、栄養不良状態に陥ることがある。これも食が細い子と同じように、その後の成長にマイナスの影響を与える。乳幼児期に栄養が十分でなければ、小学生以降、成長ホルモンや性腺ホルモンの分泌が順調であっても、幼稚園でついてしまった数センチの身長の差を挽回できないままになりがちなのだ。

こうした子どもの最終身長は、男子で165センチ、女子で152センチ程度になるケースが多々見られる。それを防ぐためには、食の細い子に一度でたくさん食べさせるのではなく、少量であっても1日に何度も食べさせ、栄養状態を回復させる必要がある。そうすれば身長の伸び率も向上するのである。

大切なのは、親が子どもの状態をきちんと把握しておくことだ。乳幼児のときから、母子健康手帳に定期的にはかった身長の推移を記しておき、わが子の成長過程をつぶさに知っておくことが必要となる。


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