ストレスで身長が縮んでしまった
さて、脳はまだまだわからないことだらけなのだが、それでも視床下部は成長ホルモンの分泌をつかさどっているだけに、身長の伸びとは密接な関係がある。
これまで見てきたように、身長の伸びを左右する要素として、”栄養””成長ホルモン” ”性腺ホルモン””甲状腺モルモン”などの物質に、”思春期発来””睡眠不足””ストレス”という体質や生活習慣、精神的状況が大きく影響していることを説明してきた。
ちなみに、性腺ホルモンとは、ステロイドホルモンの1つである。精巣や卵巣で生成され、アンドロゲン(テストステロンが代表的物質)やエストロゲン、黄体ホルモンなどのことをいい、思春期発来に強く関係している。
甲状腺ホルモンは、その名のとおりに甲状腺から分泌される。アミノ酸誘導体ホルモンだが、誘導体とは分子の形が少し変わったもののことである。
そこで、こうしたホルモンや栄養物質の摂取、伸長の年平均値から思春期発来の時期、睡眠不足が背の伸びに影響をもつことは理解されたことと思う。
しかし、”ストレス”も原因の1つといわれると、「どうしてストレスが、身長に関係するのか?」などと、首を傾げてしまうかもしれない。
その理由は、成長ホルモンとストレスが密接に関係しているからである。
成長ホルモンの分泌は、ストレスによって影響されることが判明している。7つのパターンに記した高校受験生のように、実例としてストレスが重大な伸長阻害要因になっているのである。
ここで驚くような実例を紹介してみよう。拙著「背を伸ぱす医療」(発行・メディカルサロン)に載せたものだが、要約して、ストレスが伸長に大きく作用することを見てもらお 「中間テストや期末テストなどテスト期間の直後に子どもたちの背を計ると、先月より3ミリ低い、5ミリほど縮んだということがある。
人は、朝と夕方で1・5センチぐらいの誤差があるため、同じ時間に測定するようにしているが、どう考えても、試験期間中に子供たちの背が縮んだとしか思えない。
勉強のために夜更かしをすることで一時的に成長ホルモンの分泌が衰えるのか、そのためのストレスやプレッシャーが成長ホルモンの分泌が低下させてしまうのか。はっきりした理由はわからないが、そうした現象が複合的に起こって、伸び盛りの子どもの背を抑え込んでしまうのかもしれない。
また、逆に夏休みなどの長期的な休みの期間中に背がグンと伸び、新学期がはじまると伸び率が低下する。夏休みに寝坊が習慣化して1日2食になり、体重が多少減少し、かつ身長の伸びも止まる」
こうした身体的変化が子どもの体に生じるが、おそらくこれはプレッシャーなどのストレスが、視床下部からの成長ホルモン分泌を阻害し、解放されると分泌を促進するという、脳の繊細さを証明しているものではないだろうか。
テストは気分のいいものではない。嫌なものである。できれば逃げたい。そうした逃避志向は大きなストレスとなって自己防御本能を高め、骨端線の反応力を低下させ、関節間隙を縮めてしまったというわけだ。
ストレスで身長が縮んでしまった

